韓国の在韓外国人とキリスト教団体の歴史(張美華さんの論文)
この論文はVBTJの活動を始めたかなり早い段階で知りました。広報しようか、
さまざまな観点から逡巡したのですが、この論文、普通のキーワードでGoogleで検索しても、
もう出てこないです。埋もれてしまうには非常に惜しいものであるということで、
やはりご紹介させていただきます。
張美華さんという方が書かれた静岡文化芸術大学の2013年の修士論文で、
学術論文のホームページにのみ公表されているものです。
そのページもうまくリンクを貼ることができません。恐縮ですが、
静岡文化芸術大学、 学術リポジトリ、 在韓外国人労働者支援、キリスト教会、
で、Googleで検索いただければと思います。
PDFファイルは以下の通り;
論文の抄録(サマリー)は以下の通り;
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外国人労働者が韓国に入国してもう25 年が経っている。2012 年現在、約140 万人の外国人が
居住している。外国人労働者の急増とともに、外国人労働者に対する差別や賃金の未払い、
虐待[白井2007:31]、低賃金、強制労働、賃金遅配、暴力[久永 2011:1]、又不法就労者の増加など
様々な問題が生じた[三本松ら 2009:45]。しかし、韓国の政府は
外国人労働者を一時的に滞在している人、いずれ帰国する人として認識していると考えられる。
韓国政府は雇用許可制という政策で外国人労働者を法律で守ろうとする態度に見えるが、
実際には予算配分から外国人労働者支援に全く力を入れてないことが分かる。
だとすれば、韓国社会の外国人労働者問題はだれが解決するのか。誰がこういう社会的弱者の
外国人労働者に関心を持って支援するのか。
韓国では最初に外国人労働者に関心を持って支援した団体もキリスト系団体だったし、
その数も90%以上で相当に多い。そこで、韓国の外国人労働者支援において、
キリスト系支援団体は大きな役割を果たしていると考えられる。
韓国において、劣悪な労働環境下で働いている外国人労働者の問題点を把握し、
行政の踏み込めない部分に対して民間団体と教会がどのように支援活動を行っているか、
どういう役割を果たしているかを検証し、最後に行政と民間団体の両方が踏み込めない部分に対して、
キリスト教会の特徴的な役割を明らかにすることが本研究の目的である。
本研究は既存の先行論文と関連資料、インターネット情報に依拠した文献研究である。韓国における
外国人労働者支援を三つのグループ、行政、民間団体、キリスト教系支援団体に分けて検討してみた。
結果として、民間団体は行政の踏み込めない部分、不法滞在者支援、政策提言を行っている。
キリスト教系支援団体は民間団体が行っている支援活動を行っている以外に宗教活動支援も
行っている。宗教活動は行政と民間団体が両方踏み込めない部分、不安感を癒す効果があり、
キリスト教信者と牧師は外国人労働者にとって、家族のような精神的支えになる存在である
ということが明らかになった。
また、行政の予算を超える部分に対しても、経済的支援を含めて、その役割を果たしている。
以上のように、キリスト教系支援団体は、韓国における外国人労働者支援に対して
大切な役割を果たしている。
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この論文には、ドラマがあります。
2000年ころの韓国は2021年の日本とほぼ同じでした。問題は、
1) 悪劣な労働条件
2) 女性外国人労働者の性暴行被害
3) 不安感
4)賃金水準・各種手当
5) 産業災害
6) 職場内葛藤問題
7) 余暇・言葉・文化的問題、です。
文中に多くの牧師が出てきますが、特に外国人移住労働者対策協議会の
キムヘソン牧師に注目してほしいです。長年、在韓外国人労働問題に関わり政府と闘い、
2004年の雇用許可(ワークパーミット)制を政府に導入させるところまでもっていきました。
そして、2004年から2006年までの並行期間を経て、
2006年で産業研修制が終わり、2007年からは雇用許可制1本となりました。
雇用許可制で入国する外国人労働者には労働三権と社会保障制度が適用されるようになっています。
さらに、彼の地球村サランナヌムというNGOは激しく闘ったはずの政府の信頼を得て、
委託を受けて、在韓外国人のサポートを続けています。
https://www.soc.hit-u.ac.jp/~trans_soci/2012korean/koyocenter.html
ただこのレポートによると2012年の段階では、まだ在韓外国人には転職の自由はなさそうですね。
どなたか韓国のこの分野に詳しい方、連絡欄経由で私にお教えくださるととても嬉しいです。
また緊急避難的な救助の分野ではカトリック教会は素晴らしいです。日本でも同じ傾向があります。
在日ベトナム人問題に関しては、現在、仏教のお寺とベトナム人の尼僧が奮闘しておりますが、
後に続く組織・個人が出てくることを、主に祈っております。